ボアアップは、エンジン性能を極限まで追い求める男のロマンとも言えます。
このページでは、ボアアップについての基本的な事や、そのやり方について簡単に紹介します。
さいしょに
ボアアップについて知る前に、エンジンの仕組みについて理解していないと、ボアアップの意味・意義が理解できませんので、エンジンの仕組みを最初に理解して下さい。
→エンジンの仕組みについて(シリンダって何?ピストンって何?ってレベルの人は、この記事読んで下さい)
ボアアップとは
一言で言えば、「排気量を上げる為に、シリンダーの内径を拡げる事」です。
↓写真のようなものが、「シリンダー」と呼ばれる部品なのですが、これの真ん中の「穴」(この穴でピストンが上下する)が広い既製品のパーツを買ったり、「穴」自体を無理やり大きく広げることを「ボアアップ」と呼びます。
photo by ディオ復活第3章 3 : ブログ庄兵衛さん
穴が広がるということは、シリンダー内の空間が広がりますよね?広がったら燃料を多めに噴射できますよね?てことは爆発の力が上がりますよね?てことは「パワー」も上がりますよね?って流れです。
ちなみに「ボア」は日本語で「シリンダーの内径」を指すのですが、エンジン自体を、例えば「50cc」のものから「80cc」のものにそっくりそのまま取り替えても、「ボアアップした」と呼びます。
ボアアップによるメリット・デメリット
「ボアアップする」=「排気量を上げる」という意味ですが、排気量を上げる事でどういうメリット・デメリットがあるのか列記します。
メリット
- 加速が上がる
- 排気量が上がるので当然ですね。
- 50cc以上にボアアップすると原付2種として役所に申請出来る。
- 元々50ccバイクなのに、黄色・ピンクナンバープレートを付けて走る事になるので、原付のウザったい制限(制限速度、2段階右折等)が無くなります。
(当たり前ですが、この場合、「小型自動二輪免許」以上の免許が必須となります。)
- 元々50ccバイクなのに、黄色・ピンクナンバープレートを付けて走る事になるので、原付のウザったい制限(制限速度、2段階右折等)が無くなります。
- 楽しい
- これは自分でボアアップするのが前提ですが、エンジンをばらすことになるので、メカ系好きな人からしたらたまりません。めっちゃ楽しいです。油まみれになりながら四苦八苦しつつ、きちんと走った時の感動は異常です。あとバイクに詳しくなります。
デメリット
- 金が掛かる
- 店に任せるとめちゃくちゃな金額がかかりますし、自分でやるにしても専用のキットの様なものを買わないと出来ません。
- ここまで、ボアアップすると、単純に「トルクが上がる!加速が上がる!」みたいな事を書きましたが実際には、点火周期の調整・吸排気の見直し・駆動系の見直し(変速のタイミングの変更とか)・マフラー等の各部品の取替など色々な調整をしなければいけません。なので、これらの改造に掛かる金額も加味すると、結構な金額になります。
※また、ボアアップしただけでは「最高速度」は変わりません。キャブやマフラー、スプロケットのセッティング具合によって変わってきます。 - 排気量が変わる事で、現状の保険の適用外になる可能性も有る(そこは自分のプランを要確認)
→高排気量のプランに変更しないといけない可能性があります。 - 定期的なメンテナンスが必須になってくる。部品の壊れる確率も上がる。
- バイクの寿命が縮む
- ボアアップしたことで当然、燃料の爆発の衝撃は大きくなります。その衝撃の差の積み重ねが、クランク部品やシリンダの熱変形などを生み、結果的に寿命が縮みます。メーカーではエンジンのスペックは厳正なチェックの下、全て厳密に決めて各パーツの肉厚等を決定していますので、一素人である私達が適当に弄ると寿命が縮まるのは当たり前です。
- 申請のし直し
- ボアアップすることでバイクの区分(軽二輪・原付1種・原付2種とか)が変わってしまう場合は、役所に申請し直さないといけなく、面倒です。
- 走行中の振動が大きくなるから疲れる
- 普通に考えて、排気量が上がってるので振動は大きくなるでしょう。長時間走ってると如実に身体に影響が出ます。
- 調整の仕方によっては燃費が落ちる
- 排気音がウザくなる
- オーバーヒートを起こしやすくなるかも(改造前より余分に燃料を燃焼させるので)
ボアアップのやり方
本体の改造
改造は、自分でやるか店に丸投げするかのどっちかになりますが、この項目では自分でやる場合の事を書きます。
基本的には、「ボアアップキット」(シリンダー、ガスケット、パッキン等のパッケージ品)と呼ばれるものを購入して、それに付属するマニュアル(こんなん)を見ながら、実際にバイク(エンジン)をばらしていく。という形になります。
実際にバラしてる風景については 、下記のようなサイトを参考にしてみてください。
ボアアップをやってみよう
http://www.geocities.co.jp/MotorCity-Circuit/6066/boaup.html
ボアアップ
http://jogzr.fc2web.com/kaizou/boa.htm
カブ50→80へ ボアアップキット組み込み ( オートバイ ) – 人柱日記 – Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/stinger_k_hazard/18821660.html
素人APE~ボアアップ~
http://www.sorairokobo.com/ape100/boreup-1.htm
Google大先生に訊く
http://goo.gl/yXZ25u
申請
photo by:Erich Stüssi
排気量を変更した場合は、役所に排気量変更の申請をする必要が有ります。
書類の様式は、改造申請書(リンク先は山梨県で使われている様式です。2015年3月現在)という名称の書類を提出します。
これの呼び名は自治体によって違う場合があります。
また、自治体によって必要記載事項が違う場合があり、さらに「○○県は申請チェックが厳しいけど、△△県はザルだな」なんてことが有ります。
具体的に言うと、例えば、排気量は(ボアの半分×ボアの半分×3.14×ストローク×気筒数)÷1000 の式で求められるのですが、自治体に申請の際、こういった「本当に申請した車体がその排気量なのか、その検査は誰がしたのか、きちんと整備免許を持ってる人間なのか、きちんと各部品の測定記録はあるのか」など執拗にチェックされる都道府県もありますので注意が必要です。(多分大阪とかそう)
チェックが甘い都道府県では、「本当はボアアップしてないけど(50ccのまんまなのに)、原付2種として登録しちゃえ!」なんて事がまかり通る事がありますが、これはただの違法行為ですので止めましょう。
逆に「ボアアップして50ccを超過してるけど、原付1種のままにしとこう(申請しない)」のも違法行為なのできちんと申請しましょう。
ただ、違法行為ですがバレることはまず無いです。(バレるとしたらエンジンをばらしてピストン径、シリンダー内径を1つ1つ測らないと立証出来ないので)
違法行為を助長するわけではないですが、そこは各自の良心に委ねます。
ちなみに、この書類でちょろまかす系の所為を「書類チューン」と呼びます。
まとめ(私の意見)
ぶっちゃけ、メリットの割りにデメリットがデカすぎます。バイク好きじゃないならやる価値ないと私は思います。
のちのち考えてみると、ボアアップするのに掛かった総費用が、125ccスクーター新車1台分くらい掛かってしまっていたなんて事になりかねません。(パーツ代、メンテ代を考慮すると)
廃棄予定のどうでも良いバイクで遊びとして弄るのなら全然問題無いと思いますが、普段乗っているバイクでボアアップするのは安全の面から見てもリスキーです。
普段乗ってるバイクでボアアップするくらいなら、普通に望みの排気量のバイクを買って普通に乗りましょう。(免許が無いなら取りましょう)
※あくまで「私の意見」です。